2025/01/13 20:07

実際に使ったことがある方は少ないと思いますが、日本で最も使われてきた革と言えば鹿の革でした。
わかりやすいのは竹刀の持ち手や弓、鎧のつなぎ目など、武具に多く使われてきました。
江戸時代にはオシャレとして模様が入った鹿の巾着袋を腰にぶら下げて街を歩く人が多かったといいます。
強度がある上に柔らかく、さらに長持ちするといういいこと尽くしの鹿革。
国宝クラスである1000年以上前の鹿革が使われた製品ですらいまだに形状と柔らかい質感を保っているというから驚きです。
ちなみにここで「鹿」と差しているものは日本に生息している鹿ではございません。
鹿は鹿でも「キョン」と呼ばれる、中国江西省を中心とする塩分濃度の高い赤土土壌に生息する動物のことを差します。

キョン(https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=716150による)
柴犬ぐらいの大きさの動物なので非常に小さく、奈良で見かける子供の鹿ぐらいの大きさになります。
歴史を振り返ると実際に日本に鹿革が伝来したのは大和政権時代、つまり1600年前から使われていたとされており中国が唐の時代(618年 - 907年)に日本に持ってきたそう。参考文献:「三国志」魏書第三十巻烏丸鮮卑東夷伝倭人条
ここで面白いのは決して「丈夫な素材ですよ」と唐の人が持ってきたわけではなく、キョンの革で水を漉すと「安全な飲み水」を得る事が出来ると”飲み水のフィルター”として卑弥呼への返礼の品として贈られたということ。
この出来事から”鹿革で水を漉すと飲み水ができる”と後世に伝えようと「漉す」という漢字ができたのです。

当時の中国は絶えず戦争が繰り広げられていたので、どこでも飲み水が確保出来るキョンの革は大変貴重ですよね。
現代では日本の和鹿が鹿革の素材として使われるようになりましたが、いまでも最高級の鹿革と言えばキョン皮をさすそうです。
キョン皮を使えば卑弥呼様の時代にちょっとだけタイムスリップした気分になれますね。
ちなみに現代ではキョン皮を飲み水用のフィルターとして使うことはないですが、その卓越した殺菌能力でカメラやメガネ等のレンズ、時計や宝石等の貴金属類、ハサミ等の刃物類、自動車やガラスを磨くものとして広く使われてます。
長く使えるものなので興味がある方はぜひご覧になってみてください。
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ではでは。
出典:
(https://www.kasuga-fur.jp/index.php?dispatch=pages.view&page_id=71)
(https://www.yoshinohamu.com/%E3%81%AA%E3%82%89%E3%81%A3%E3%81%A8%E3%81%B5%E3%81%89%E3%83%BC%E3%82%80/%E6%BC%86%E9%9D%A9%E5%8D%B0%E4%BC%9D/)
(https://gibier.site/2020/12/06/shikagawa_japan/)